驚きと感動の連続、 スミソニアンでのボランティア活動

はじめまして。三井絵です。

昨年9月から、National Museum of Natural Historyでボランティアのガイドを始めました。Ocean Hall という海の生態系や動物の展示と、Narwhal(いっかく)という北極海に生息するクジラの一種の生態や関係が深いイヌイットの人々の生活の紹介が担当です。このボランティアは渡米前からわたしにとって憧れでした。渡米してきてから2年半で、英語もまだまだ十分ではないわたしですが、永住ではないために、このチャンスを逃したら二度とできないかもしれないと、まさに清水の舞台から飛び降りるようなつもりで挑戦しました。予想通り劣等生ガイドですが、それでも予想以上に感動や得るものも多くて、本当に貴重な経験です。今回はその一端を紹介させていただきます。まずは、ちょっと目立ちにくいNarwhalの展示コーナーへのルートからです。

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まず、ナショナルモール側の正面からNational Museum of Natural History (NMNH)に入ると、厳かな雰囲気のロタンダの中で大きな象が鼻をもたげて出迎えてくれます。見上げたまま、正面ではなく、ちょっと左手の方に目を向けると・・・・。

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はい、Narwhal(いっかく)の展示のサインが見えます。サインに向かって歩くと・・・。

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右手が、 Narwhal展示の入り口です。昨年8月にオープンしました。常設ではなく、期間限定の展示です。(いつまでの展示なのかちょっと確認しないといけませんが、少なくとも1年以上はオープンしているはずです)

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展示コーナーに入ると真っ先に目にと目に飛び込んでくるのが、天井から吊るされたNarwhalの模型。最大の特徴である長〜いタスク(実はこれは牙ではなく、歯)に驚きます。

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Narwhalの模型を取り囲むように、生息域である北極海の説明や、Narwhalの生態、海のユニコーンと言われる所以などの解説、タスクを使ったアート作品の展示もあります。

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わたしは、ボランティアの印であるベストを着用して、Narwhalの頭蓋骨とタスクのモデルを使って訪問者に解説します。わたしの後ろには、本物のタスクと頭蓋骨の展示がありますが、本物には残念ながら触れません。

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モデルの頭蓋骨とタスクには、こどもたちが興味津々。ほとんどのこども(大人もですが)触っていきます。そしてほとんどのこどもがすごい勢いで質問してきます。大人も、素通りするよりも、質問するために自ら近寄ってくる人のほうが多いです。

わたしの最大の苦戦どころは、この訪問者との対話です。最初、わたしは学んだ知識を一方的に訪問者に話していました。すると、そばで見ていた博物館のボランティアの教育担当者が「もっと質問して、訪問者に自ら考えさせて。訪問者とコミュニケートして、訪問者に自分で答えを導けるように質問で誘導してあげて」と指示をしてきました。確かに質問すると、こどもも大人も真剣に考えて答えてきます。その会話を楽しんでいるというのが態度や様子からわかります。うーーん、難しい。日本とはかなり違うなあというのがわたしの実感でした。でもこれがアメリカ式の博物館のガイド法なのかもしれないと新鮮な気持ちで納得。英語でこの対話を進めるのに本当に悪銭苦闘しております。同僚となったあるアメリカ人のボランティアに、「わたしにはすごく難しい」とボヤいたら一言、「わたしたちはこどもの頃から学校でもどこでも質問しないといけないと教わるのよ。それにアメリカ人はおしゃべりが好きな人が多いのよ」。これも納得しました。

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訪問者の中には、熱烈なNarwhalファンも少なくありません。ある女性は、こんなTatooを自慢げに見せてくれました。さすが、アメリカと感心したわたしです。

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ボランティアに挑戦して驚いたことのひとつが、事前トレーニングの充実ぶり。実際にフロアに立つ前の1ヶ月間、みっちりありました。

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トレーニングでは専門家の講義はもちろんあったのですが、実際の道具を使いながら、訪問者を想定した実演練習により多くの時間を割いていました。でも、ボランティアを希望するだけあって、みんな上手。仕事をリタイヤした人が多いのかなと想像していましたが、大学生や、現役の学校の先生や会社員、政府の機関の職員など若い人が多いのにも驚きました。さすが、ボランティア国家、なのですね。

 

フロアに立って4ヶ月ぐらいですが、ひとつ不思議なのが、いままで一度も日本人の訪問者と会話をしていないことです。NMNHの年間の訪問者のうち約3割はアメリカ以外の国からの観光客だそうで、確かにわたしに質問している英語も、ネイティブばかりではありません。中には英語はわからないと堂々とスペイン語や中国語で話しかけてくる人もいますが、こちらも身振り手振りで対応しています。NMNHでは、ボランティアが英語以外の言語を話すことが訪問者にわかるように「⚪️⚪️語話せます」とその言語で書いたバッジを用意してくれます。わたしは、胸に「日本語話せます」と日本語で書いたバッジをつけているのですが、それを見て、日本語で話しかけてくるのは、アメリカ人で日本語に興味がある人と、中国人、韓国人です。

 

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